2019年の夏、8月はどこか近場の国立公園で自然を満喫したいなぁ…と思っていました。
ところが、8月5日に次女が足を骨折したのです。すべての予定が真っ白になりました。
できるだけリアルな体験をシェアして、同じようなことに見舞われた方の参考になればと思います。
覚えておくと役に立つ英語は太字にしてあります。いざというときに使えるはずですよ♪
目次
夕暮れ時のアクシデント

magic hour の空
日が落ちて、空がオレンジとブルーが混ざりあったような色になる時間があります。英語では、Magic Hourとか、Golden Hourといいます。
なんとまぁ、きれいじゃないですか。
美しい空にうっとりしている場合ではなかったのが、8月5日のことでした。
うす暗い道のすみにうずくまって、次女が私を泣きながら呼んでいたのです。
次女、スクーターで転ぶ
メキシコのリゾートから戻った翌日でした。
夕食後、次女が「スクーター (scooter:上の写真) に乗りたい」と言いだしました。少し暗くなり始めているけど、家の前の道ならいいよ、とOKしました。
ちょうど Magic Hour で空がきれいだったのを覚えています。
ガレージをあけたままにして「あまり遠くに行かないでね」と言っておいたのですが、しばらくたっても戻ってきません。
だんだん暗くなってきます。
名前を呼んでも返事がないので少し先のほうに歩いていったら、うずくまっている次女を見つけたのです。
道路のマンホールにひっかかって転んだとのこと。
転んだ瞬間を見ていないので、どんな格好で転んだのかはわかりません。
あまりの痛さに大きな声が出ないのでしょう、振りしぼるような声で「イタい〜 イタいよ〜」と泣き続けます。
次女をおんぶして、えっちらおっちら家に運びました。
左足首がだんだん腫れてきたので、アイスパックで冷やします。
しばらくして泣きつかれたのか「眠い」と言い出したので、翌日の朝一番にUrgent Care(あえて訳せば「急病診療所」)につれていくことにしました。
Urgent Careに行き、翌日手術が決定

Urgent Careはうちから車で10分。私自身が病気になったとき、何度か行ったことがあります。
ER(緊急救命室)のように24時間あいているわけではありません。次女を連れて行ったところは朝8時から夜の8時まで。
予約をしなくても診てもらえるので、急な病気やケガのときにはここに来ることにしているのです。
もし昨晩、次女が泣き続けてどうしようもなかったらERにつれていったでしょう。
ERにはまだ行ったことがありませんが、今回のことで念のため場所を確認しました。家から近いERの場所が車でどのくらいか、だいたい見当をつけておくと安心です👍
朝の8時に行ったら、5分も待たずに呼ばれました。
すぐにレントゲン(X-ray)をとって小児整形外科(Pediatric Orthopedic Specialist)のドクターのところへ。


心の動揺を押し隠して「わかりました」と答えました。
とりあえず簡単なギプスをつける
すぐに簡易式のギプス(splint)をつけてもらいました。
splint は、こんなもの▼。

松葉杖(crutches)も渡されましたが、生まれて初めてなのでヨロヨロしてました。

clutches は車のクラッチ、松葉杖は crutches です。
CTスキャンは車で5分の場所でとりました。ここでも待たされずにすぐとってもらえてよかったです。
「明日の手術の詳しいことは、あとで電話がいきますから」と言われて病院をあとにしました。手術前に読んでおく書類も一式渡されました。
たった2時間ちょっとの時間で 検査→診断→手術決定。びっくりでした。
【実例】手術前に読んでおく書類
渡された書類はこんなものです。
【手術に備えて】
食事制限があること、当日は何を持っていくか、などが書いてあります。

【食事制限について】
全身麻酔(anesthesia)のために、手術前の食事について注意があります。
- 手術の8時間前(赤線):すべての固形物、透明ではない飲み物はストップ
- 手術の3時間前(青線):水も飲んではいけない

【手術当日のこと】

友人との約束
CTスキャンを終えて家に戻りましたが、次女を乗せたまま、長女を車に乗せて向かったのは…
✈ サンディエゴ空港 ✈

日本の友人が、娘をつれてサンディエゴに遊びにくる予定だったのです。
なんとまあ、とんでもないタイミングで骨折したことか!
La Jollaにある、眺めが最高のレストランを予約していました。次女はその店のスープが大好物なので「足の骨が折れてたって絶対に行く」と言い張ったのです。
それだけ元気があれば、明日の手術もバッチリね!ということで、行きました。
▼これがそのレストラン George’s at the Cove La Jolla▼

photo from La Jolla Blue Book (http://www.lajollabluebook.com/)
病院からの電話
ちょっと話がそれましたね。
夕方、病院から手術についての電話がありました。
- 午前11時から手術なので、9時にはチェックインすること。
- 全身麻酔をするので、手術が始まる3時間前(朝の8時)以降は水も飲まないこと。
書類にも書いてあることですが、電話で念押ししてくれます。
手術をする病院 Rady Children’s Hospital は、長女が5年ほど前にお世話になったことがありました。
サンディエゴで一番有名な小児病院で、前回もケアが手厚いと感じました。安心して任せられます。
手術当日
8月7日。朝8時に家を出て、8時半に病院に到着。
入り口でチェックインをすると、今日のプロセスがフローチャートで描いてある紙をもらいます。

手術前の説明をしてくれたのが、看護師歴44年というベテランの女性。

思い返せば、ヘルメットもかぶってなかった次女。今さらながらゾッとしました。
そしてドクターが言いました。

ふぅ~っと深い安堵のため息をついた次女と私。
「手術」というから切開してボルトいれたり?なんて想像していたのです。特に次女は、ずいぶん気持ちが軽くなったようでした。
やがて時間になり、次女は手術室へ。
手術が終わるのを待つ
私は少し早めのランチを食べに出ました。
病院内にあるカフェでサンドイッチを買いました。全身麻酔が効いてスースー寝ている次女の姿を想像しながら、心の中で声をかけました。

いろんな気持ちが交錯して、食べた気がしなかったです。むりやり胃に食べ物を押し込んだ感じ。
予定では1時間でしたが、30分ぐらいで呼ばれました。
上のフローチャートの⑤、ドクターから手術の結果を教えてもらいます。

そして、ガシッと力強く「ありがとうございます」の握手。
次女はまだベッドでうつらうつらしていました。左足には、足の付け根まである長いギプス(cast)。しかも、蛍光ピンク(笑)!


しばらく休んでから着替えて、家に帰りました。
病院から出ること、退院することを英語では discharge といいます。
次女の軟禁生活

これは我が家ではありません(笑)イメージです。
うちは階段が多い家です。
玄関から客間まで、まず8段。
客間からキッチン・ダイニングに6段。
キッチン・ダイニングから私の書斎(den)まで5段。
私の書斎から踊り場は3段。
踊り場から子ども部屋まで9段。
合計31段!
元気なときにはあまり感じませんが、今回ばかりは階段がうらめしかったです。
しばらくは次女が階段をのぼりおりしなくていいように、ベッドで食事をさせました。トイレに行くのも片足跳びか松葉杖を使う必要があるので、自分の部屋にいるのが一番ラクなのです。
ベッドで寝たきりの生活することを bedridden ということを、今回初めて知りました。
寝たきり、という言葉は次女には当てはまりませんね。パソコンでNetflixやYoutubeをみたり、本を読んだりしていました。
ギプスは濡らしちゃダメ!
ギプスの取り扱い説明書 (Cast Care Instructions) です。

一番上に書いてあるとおり、最も大事なのは…
絶対に濡らさないようにすること!
シャワーを浴びるときは、ギプスをサランラップでぐるぐる巻きにして、さらにはゴミ袋もかぶせました。
最初の2週間は足の付け根まである長いギプスだったので、サランラップの消費量がすごかったです。
手術の1週間後

病室にかかっていた図
8月13日、手術から1週間後。ドクターのところに行ってレントゲンをとり、順調に回復していることを確認。
次女の顔がパッと明るくなりました。付け根までのギプスは、足をしっかり固定するにはいいのですが、とても重くて動きにくいのです。
外出したときの移動は車椅子のほうがラクだし便利なので、私は車椅子を手配したかったのですが、次女は断固拒否!松葉杖だけでいい、と言い張ります。本人がそう言うなら仕方ありません。
手術から2週間
8月22日、やっと短いギプスになりました!
ギプス担当の女性が実にプロフェッショナルで、見ていて爽快でした。
まずは専用ノコギリで切れ目をいれます(かなりの騒音!)。
ギプスを切る電気ノコギリはこれ▼
その切れ目にハサミ(下の写真)を入れて、ぐわっと切れ目を広げるのです。パコンという音がして外側の固い部分がはずれたら、中のやわらかい部分を切り取ります。
そして新たにヒザ下までのギプスを装着。今回、次女はブルーを選びました。

駐車許可証の申請書、見学願いをもらう
ここで私はドクターに言いました。
申請書(Application for Disabled Person Placard or Plates)にドクターの署名をもらい、DMV (Department of Motor Vehicle)に行けば許可証がもらえます。
学校が5日後の8月27日から始まるので、体育を休ませるための Medical Excuse Form(日本語では「見学願い」でしょうか?)ももらいました。
DMVで追い返される
この日、診察がおわって家に戻ったのが昼すぎ。駐車許可証は早くもらっておこうと思って次女を家に連れて帰ったあと、すぐDMVに向かいました。
ここで浅はかだったのが、次女の出生証明にあたるパスポートと永住権カードを持っていかなかったこと。保護者である私の身分証明書を持っていけば大丈夫なはず、と考えたのです。
DMVまで車をとばし、受付の列で並ぶこと30分。
受付の女性に書類を渡したら「お子さんの身分証明書が必要です」と言われました。
携帯電話にある、ギプスをして車椅子に乗っている次女の写真を見せて「これでもダメ?」とねばりましたが結局ダメ。
次女の身分証明を持っていかなかった自分のうかつさ、そして30分も待ったのに目的が果たせなかった悔しさで、頭のマグマが爆発しそうでした(相当、ストレスがたまっていたみたい…)。

この時点で午後2時。
家に戻って次女の身分証明を持ち、もう一度DMVに行こうかと思いました。でも、家からDMVの道は3時ごろになると渋滞が始まります。
しかも、その日は3時に長女の歯医者のアポ。
4時には英語レッスンで家に生徒さんが来ることになっていました。
さらに5時過ぎには近所の友人の子どもを預かる約束をしていたのです。
今日はあきらめよう。
明日の朝イチでDMVに行くことにしました。
子どものための役所手続きのときは、必ず子どものパスポート、永住権カードなど、子どもの身分証明証を持参しましょう。長いこと待ったあげくに「ダメ」と言われると爆発しそうになりますからね🌋
ついでに運転免許の更新も
待たされることで有名なDMV。どうせ行くなら運転免許証の更新も済ませることにしました。
運転免許証の更新は、翌週金曜日の午後に予約をいれてあったのです。でも、今日行った様子だと予約を入れてあってもかなり並ぶみたい。
また追い返されるのはごめんですから、必要書類をすべて揃えて準備万端ととのえて、ベッドに入りました。
無事、DMVで駐車許可証を取得
8月23日は6時40分に家を出発。DMVについたのは7時前だったのに、すでに10人ぐらい並んでいました。
でも昨日の午後にくらべたら、ずっとまし。
まずは運転免許の更新。予約なしの列も昨日にくらべれば短くて、10分ぐらいで受付してもらえました。
まずは運転免許証の更新を済ませてから、障害者用の駐車カードの手続きです。
私が手に入れたのは一時的な駐車許可証 (temporary disabled person parking placard)。$36かかりました。

あ〜、すっきり!
すべてが終わるまで1時間。晴ればれとした達成感を胸に、家に戻りました。
新しい先生との顔合わせ
早朝にDVMで手続きをした8月23日は、午前10時すぎから Mini Open House という学校イベントでした。新学期が始まる前に、新しい担任の先生と初めて顔を合わせます。
とれたての駐車カードをぶらさげて、障害者用のスポットに車をとめました。
次女は、だいぶ慣れてきた松葉杖を使って教室に入り、新しい先生に挨拶できました。
新学期の初日にまさかのねんざ!
8月27日、新学期の初日。松葉杖をつきながらとはいえ、次女は元気に学校に行きました。
でも、迎えにいったとき、様子がおかしい。
「どうしたの?」ときいたら…

右足首を見ると、少しはれています。次女は痛いうえに、精神的にショックを受けているようでした。
新学期初日、すでに骨折してるのにさらに痛い目にあうなんて、まさに「泣きっ面にハチ🐝」!
スクーターで転んだときほど痛くないので、次女も「明日は学校を休んで様子をみたい」と言いました。
1日休んでもはれがひかないので、2日後にまた Urgent Careにつれていきました。
レントゲンをとったところ骨は折れていません。ねんざ(sprain)でした。
ねんざでよかった!心の底からそう思いましたよ。
しばらくは自宅療養させる予定です。さすがに次女も車椅子が必要だと思ったようで、さっそく手配しました。気分転換に外出するときも松葉杖よりはラクなはず。
とにかく、これ以上は事態が悪化しないことを祈るのみです。
参考資料:足首をねんざしたときの処置

今回のケガを振り返って
子どものケガやアクシデントは、いくら気をつけていても起きてしまうもの。
でも、私は何度もこう思いました。
- 8月5日の夕食後、もう暗いからスクーターでは遊ぶな、と言えばよかった(そうしていたら、すべてがいつもどおりの生活だったのに)。
- 車椅子を最初から手配して、学校では車椅子を使わせればよかった(そうすれば元気なほうの右足をねんざすることもなかったのに)。
「たられば」は考えても仕方ないとわかっていますが、はぁ〜という深いため息とともに押し寄せる「あのときこうしていたら…」という思い。
切なくてやるせない。ストレスたまります。
こういう気持ちに折り合いをつけていくのが人生なのかもしれませんね。
失敗から学んで次に備える、の繰り返しです。
- 家の近くで遊ぶとはいえ、スクーターや自転車にのるときは必ずヘルメットをかぶらせる。
- 目の届く場所にいるよう、強く言い聞かせる。
- 子どもに関わる事務手続きのときは、必ず子どもの身分証明(パスポート、永住証明書など)を用意する。
10年間のアメリカ生活で培った度胸と英語力のおかげで、あまりあわてずに対処できたと思います。
でも、これからも気をゆるめずに、子どものことは注意して見守ろうと決意した夏でした。
覚えておくと使える英語
今回の記事でてきた英語をまとめます♪
- レントゲン:X-ray
- 小児科の:Pediatric(小児科医はPediatrician)
- 簡易式のギプス:splint
- 松葉杖:crutches
- 麻酔:anesthesia
- ギプス:cast
- ベッドで寝たきりの生活すること: bedridden
- ねんざ:sprain
- 退院:discharge
Have a wonderful day!