洋書を読み始めても、わからない単語が出てきたり、意味がよくわからなかったりすると途中で投げ出したくなりますよね。そんなときの強い味方が、子ども向けの洋書。
子ども向けだと思ってあなどることなかれ。意外と奥が深いです。
わかりやすい英語でスルっと頭にはいってくるな、と思ったらシメたもの。そのまま読み続けましょう!気づいたら読み終わっていて、思わずガッツポーズです。
短くても1冊読み終えると達成感があります。英語を読むというよりも、物語そのものを感じてみましょう。
先週、アメリカの現地校に通っている娘二人が「これは面白いよ!」とすすめてくれた本を読んでみました。
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目次
Holes(邦題「穴」)について
あらすじ

スニーカーを盗んだ罪を着せられたスタンリー( Stanley Yelnats )は、Green Lake Campという矯正施設に送られます。施設にいる少年たちは「根性をたたき直す」「人格矯正」という名目で、毎日穴を掘らされます。
かつては大きな湖であった場所はカラカラに干からびて、今では危険な毒トカゲがひそんでいるような場所。少年たちは直径1.5メートル、深さ1.5メートルの穴を毎日1つ掘らなくてはいけません。昼間は灼熱地獄になるので、まだ涼しい朝4時半から作業をはじめます。
劣悪な環境で、ひたすら穴を掘らされるスタンリーたち。しかし少年たちに穴を掘らせる本当の目的は、別のところにあった!というお話。
1999年度のニューベリー賞、全米図書賞を受賞した児童書のベストセラー小説です。
ニューベリー賞:アメリカで出版された児童書の中でもっとも優れた作品に対し、年に一度授与される権威ある児童文学賞。1922年にアメリカ図書館協会によって創設された、世界で最初の児童文学賞です。
全米図書賞:National Book Foundation(全米図書協会)によって選ばれる賞で、アメリカでもっとも権威ある文学賞のひとつ。
パズルをハメていくような面白さ

スタンリーの家では、代々語り継がれている「ひいひいおじいちゃん(曽々祖父)の呪い」があります。スタンリーも、スタンリーのお父さんも、何かうまくいかないことがあると、ひいひいおじいちゃんのせいにするのが習慣(ある意味ファミリージョーク)になっています。
It was all because of his no-good-dirty-rotten-pig-stealing-great-great-grandfather!
(これもすべて、「あんぽんたんのへっぽこりんの豚泥棒のひいひいじいさん」のせいだ!)
幸田敦子氏の翻訳より
ひたすら穴を掘る続ける少年たちの物語の合間に、過去のエピソードが織り交ぜられます。その過去のエピソードがすべて伏線になっているんですよ。
物語が進むにつれて、パズルのピースがだんだん埋められていきます。そして最後に謎がとける爽快感といったら!
わたしが読んだペイパーバックで233ページ。なんともちょうどいい長さでした。途中でやめられない面白さです。
おもしろポイント
Stanley Yelnatsという名前、前から読んでも後ろから読んでも同じであることに気づかれましたか?
これ、 palindrome(回文)といいます。
日本語でも「上から読んでも下から読んでも」という言い方をしますね。例は「たけやぶやけた」(山本山じゃないですよ!)。
英語で有名なのは「Madam, I’m Adam.」ですね。
Jon Ageeという作家が、Palindromeの絵本をたくさん描いています。面白いですよ。
児童書でアメリカ人の考え方、文化、習慣を知る
わたしは39歳まで日本に暮らしていたので、アメリカでの学校生活を体験したことがありません。
娘二人の生活を通じて、アメリカの子どもたちが必ず読む本を追体験しています。
アメリカ人なら必ず読む本を読むと、アメリカ人の考え方、常識や習慣、生活環境、文化背景など、さまざまな要素を吸収できます。もちろん、そういう要素を知りたいと思って読むからこそ気づく部分も多いですけどね。
児童書は子どもの視点から描かれていることが多いため、童心に戻れるのも楽しいです。
洋書を楽しむコツ3つ

映画やドラマと違って映像はありませんが、読書は逆にそこがポイント。
- 想像力を思う存分に駆使して、そのシーンの情景を思い浮かべましょう。わたしはよく「この小説を映画化するなら主人公は俳優の◯◯を使うな」と勝手にキャスティングをして楽しんでいます。
- いつも途中で投げ出してしまうという方。児童書の短編がオススメです。いつも読み終わらない、という罪悪感を減らして、短くても読み終えた、という達成感を積み上げましょう。
- とはいっても、ずっと児童書を読んでいると大人の小説が読みたくなります。飽きがこないように、いろいろなジャンルを試してみるといいでしょう。
オススメの児童書

わたしがいつも参考にしているのは、渡辺由佳里さんの洋書ブッククラブ。いろいろなジャンルに分類されているので、その時にあなたが読みたいジャンルを簡単にさがすことができます。英語の難易度も書いてあるので参考にしてください。
わたしのオススメ児童書3冊をご紹介しましょう。
アメリカでは定番の Wrinkle In Time
1962年の出版以来、アメリカの子どもなら必ず読む児童書のベストセラー。日本では「五次元世界のぼうけん」と題して出版されていますが、アメリカほど知名度が高くないですね。アメリカでは映画化もされました。
When You Reach Me
主人公は6年生の女の子で、彼女の愛読書は上記の「Winkle In Time」。日本語版は「きみに出会うとき」という邦題で出版されています。ニューベリー賞受賞作品。わたしは渡辺由佳里さんの下の一言で読むことを決めました。
全体にちりばめられた謎が読者をぐいぐい引き込んでゆき、最後に「じん」とさせてくれます。
Because of Mr. Terupt
日本語訳も出ていますが(邦題「テラプト先生がいるから」)、ぜひ洋書で読んでみてほしいです。新米のテラプト先生が小学5年生のクラス担任になり、ユニークな授業で少しずつ生徒たちが変わってゆく姿を描いています。一人の先生との出会いで、子どもの人生が変わることって大いにありえますからね。娘たちに、こんな先生と出会ってほしい、と思いました。
まとめ
今回は「 Holes 」を読み終えて押し寄せた感動を伝えたくて書きました。
映画やドラマもいいけど、本もいい。
子ども向けの本とはいえ、大人が読んでも十分に楽しめる作品はたくさんあります。大人になってから読むからこそ、より深く感じ取れる部分があるとわたしは思います。
この記事でオススメした作品は、どれも粒よりで心にグッとくること間違いなしです。
ぜひ洋書を読む喜び、味わってくださいね♪
Have a wonderful day!