自分が言いたいことをできる限りそのまま英語にして伝えたい、と思いませんか?
私も渡米当時、そう思っていました。でも実際は半分も言えたらいいほうで、「私ってダメだ」と自分にがっかりする日々が続きました。
そのためにハマってしまった悪循環…

悪循環
この悪循環にハマらないために、知っておくといいことが2つあります。
- 英語は語順に厳しい言葉。語順には十分に注意を払う。
- すべてを英語で言おうとしない。7割でよしとする。
この2つを心にとめて英語に向き合うと、こうなります。

小さな達成感を積み上げよう!
この2つの視点を教えてくれたのは、上智大学の吉田研作教授の著書でした。
目次
上智大学吉田教授の考え方に深く共感
吉田研作氏は上智大学の教授。言語教育研究センター長を務めており、英語教育、バイリンガリズム、異文化間コミュニケーション教育の第一人者として有名です。
吉田教授を知ったのはポッドキャスト「バイリンガルニュース」

おすすめポッドキャスト 「バイリンガルニュース」
吉田教授の存在を知ったのは、英語学習におすすめのポッドキャストバイリンガルニュースでした。吉田教授がインタビューを受けているエピソード(#68)を聞いたのです。これは英語を学んでいる人には、ぜひ聴いてほしいインタビューです。
吉田教授の著書に感動
吉田教授のことをウェブで検索しているうちに見つけたのが「日本語を活かした英語授業のすすめ」(柳瀬和明氏と共著)。
感想は一言。
「もっとこの本に早く出会いたかった!」
この本は英語を教える人向けに書かれています。表紙を見てわかるとおりイラストも何もない、教科書っぽい本です。書店に並んでいても、「英語をどうにかしたいなぁ」と思っている人が手に取ることはまずないでしょう。
私も吉田教授のインタビューを聞かなかったら読むことはなかったかもしれません。また、私が英語を教える資格TESOLを取得し「どうやったら英語を教えるか」について常に考えていたから出会った本とも言えます。
もしあなたが英語を教えている、あるいはこれから教えてみたい、と思っているとしたら、読んでみることを心からオススメします。
「純ジャパ」の英語学習の現状

「国際化の中で英語はもはや日常である」「英語ができなければこれからはやっていけない」と、かなり前から言われつつも、日本に住む英語学習者が置かれている現状は下記のようなものです。
- 教室で学んだことが外にでるとなかなか実を結ばない、つまり英語を使うチャンスがない
- 英語使用があくまでも限定された環境に限定されていて、実社会・実生活では使われていない
- 「自分が言いたいこと」を英語で表現しようとすると急に行き詰まってしまう
(太字はNaoko)
「日本語を活かした英語授業のすすめ」より
渡米前の私は(1)と(2)、渡米直後の私は(3)にバッチリ当てはまりました。
せっかく持っている日本語をうまく活用したほうが現実的
さらに吉田教授はこう言います。
英語圏でまとまった時期を過ごすことのできる学習者は別として、圧倒的多数の「純粋培養型日本人学習者」の場合は「英語で考えろ」と言われて、「はい、そうですか」と即座に納得できるかというと、なかなかそうはいかないのではないでしょうか。むしろ、せっかく持っている日本語という道具を上手に活用する方策を考えるほうが現実的、実践的なのではないかと思われます。(太字はNaoko)
「日本語を活かした英語授業のすすめ」より
ここで言う「純粋培養型日本人学習者」はいわゆる「純ジャパ」のことですね。「純ジャパ」とは、日本生まれで、帰国子女でもなく留学経験もない人のことを指す、と私も最近(2018年2月)知りました。
たしかに「英語で考えろ」と言われても、それができれば苦労しないよ!という気持ちになります。
純ジャパの場合、英語で考える前のプロセスがあってもいいんじゃないか?という提案が本書のポイントです。
日本語ってどんな言語?

Japan
日本語を活用して英語を教えるにあたって、まずは日本語のことを改めて見つめ直してみよう、と教授は言います。
- 日本語の場合であれば年齢相応に身につけた「言い回し」や「イントネーション」、さらに「しぐさ」「表情」といった非言語要素を無意識のうちに使いこなして、言葉だけでは伝えきれない情報を巧みに伝達している。
- 「日本語で言いたいことが英語で表現できない」というときの「日本語で言いたいこと」というのは思っているほど単純なことではなく、けっこう複雑な要素を持っている。
- 日本語には心情と事実が同居し、主語・目的語の省略や脱落が起きる。
- 日本語は語順に寛容な言語である。(太字はNaoko)
「日本語を活かした英語授業のすすめ」より
なるほど〜、確かに言われてみればそうだな!と思いました。
生まれてから自然に身につけた母国語は、意識せずに行っていることがとても多いのです。この本を読んで、日本語がいかに英語と違う言語かということを改めて感じました。
英語を使うときに意識すべき2つの視点

英語で自分の言いたいことを伝えるときに常に意識するとよい2つの大きな視点として、吉田教授は下の2つを挙げています。
- 英語は日本語よりも語順に厳格な言語である
- すべてを一気に言おうとしないこと 「当たらずも遠からず」の姿勢で
「日本語を活かした英語授業のすすめ」より
渡米時にこの視点を知っていたらどんなによかったでしょう!
みじめで苦しい悪循環にもハマらずに済んだかもしれません。
英語を勉強している日本人全員に伝えたい!
「日本語で言いたいことがそのまますべて英語で表現できないのは当然なのだ」という少々開き直った気持ちで構わない
「日本語を活かした英語授業のすすめ」より
そうです、前向きな開き直りはとても大事ですよ。
この言葉に出会って以来、チャットde英語レッスンのサービス(有料)を受けてくださっている方々には必ずこの考え方を伝えています。

「一億人の英文法」にも書かれています
英語の語順については、有名な文法書(私もオススメ!)「一億人の英文法」にもこう書かれていました。
英語は配置のことば。配置がギア(歯車)になって文を動かすことば。
(中略)
場所と意味ががっちり結びついた配置のことば。それが英語です。(太字はNaoko)
「一億人の英文法」より
「英語は語順に厳しい」「英語は配置のことば」ということを胸に刻んでおきましょう。
まとめ
純ジャパには英語で考えるよりも前の段階があってもいいはずだ、という考えに私は深く共感します。
英語に向き合うときに意識すべき2つの視点を覚えておいてくださいね。
- 英語は語順に厳しい言葉。語順には十分に注意を払う。
- すべてを英語で言おうとしない。7割でよしとする。
この2つを心に留めておくだけで、ずいぶんと違いがでるはずです。
Have a wonderful day!